好きなもののはなし

私はどちらかというと、暗い話の方が映画も小説も好きだ。もっと細かく言うと、自分に起こる悲しい出来事や辛い現実と向き合って、奇跡的な何かが起こって現状から抜け出せるわけではないけど、救いがない中でも進んでいく、そしてその中で少しずつ自分の手で救われていく、という類の話が好きだ。
 
こないだ見た『恋人たち』という映画が本当にものすごく、ものすごくよかった。140分間、ずっと見入ってしまった。登場人物の感情が、どれも遠く離れたものではなくて自分の隣にあるような、同じ体験はしていなくてもスッと心に沁みてくるような、そんな感覚だった。特に、女性陣の泣き方がすごく共感できた。人って泣きたくない時、笑うんだよね。少なくても、私はそうだ。ラストもすごく素敵で、私は何回でも見たくなると思った映画だった。
 
今読んでる本は、八月の六日間という小説で、これもすごくよい。一文一文の表現がとってもきれいでユーモアがあって、読んでいてとても面白くて関心する。こんな表現あったんだ!って、いちいち感動する。実はまだ半分も読んでいないのだけど。主人公はアラフィフの女性で、一人で山を登る。この女性も、色々な物と戦ってる。ストレスとか悲しみとか。それを抱えて山を登る。この本のすごい所は、読むとすごくハッピーな気持ちになれるという事!30代で初めて山に登って、どんどん山の魅力の虜になっていく彼女。私もやろうと思えばいつでもなんでもできるんじゃないか!?ってすごく前向きな気持ちにさせてくれる。もちろん山にも登りたくなる。読みだすと止まらない。こんなにハッピーな本久しぶりに読んだ。
 
なぜ最近私はよくイライラするのか、その理由はやっぱり縛られているように感じているからだと思った。私はやっぱり自分が大好きで、自分1人で好きな事をして過ごす時間が大好きだ。趣味を無理やり共有したり、自分の見たいものを好きなタイミングで見れなかったり、私のタイミングでやりたい事が出来ないことが多くてイライラしていたんだな、きっと。
自分のことを大切にするのは、そんなに悪い事だろうか。恋人よりも自分の方が好きだと言ったら、なんだかすごい自分勝手なやつだと思われるかもしれないけど、恋人といる時間と同じくらい、自分の時間を大切にしたいと思うのはそんなに冷たい事なんだろうか。それが分からない。私が子供なだけなのか。
 
心に引っ掛かるものをうやむやにして、今日も明日も過ごしていくんだろうなぁ。はっきりと答えが見つかるまで。こんな時に私を救ってくれるのは、だいたい映画か小説か、お酒を一緒に飲んでくれる友達である。